習慣性の便秘は、大きな病気が隠れていることがあるとはいえ、一般的にほとんどが体質によるものです。便秘を自覚したら医療機関を受診し、便の潜血検査や、大腸内視鏡検査を受け、腫瘍などがないかどうかを確認しましょう。
病気によるもの以外の体質的な慢性便秘には、大きく分けて三種類があります。
弛緩性便秘、直腸性便秘、けいれん性便秘です。
高齢者や女性に多くみられるタイプで、便意や腹痛が弱いのが特徴です。
大腸の運動機能が低下しているのが原因で、糖尿病やパーキンソン病に伴う便秘もこれにあたります。
これは、便意を催したたきに我慢することが習慣になってしまった人の便秘です。
Aの弛緩性便秘と合併することもあります。排便反射による直腸の収縮能の低下が原因です。
腸の神経が過度に緊張して起こるものです。便意があり、頻繁にトイレへ行くのに、少ししか出ず、便は硬く、ウサギの糞のようにコロコロしているのが特徴です。
性格的に真面目、几帳面、神経質、『気にしい』などと表現される方に、多くみられます。
Aに対しては、酸化マグネシウム剤(粉、錠剤:便に水分を持たせ軟らかくする)、ビタミンB製剤(腸の運動を促進する)が基本の治療薬です。また腸を刺激する薬剤(一般的に薬局で買える下剤は、ほとんどがこのタイプ)を加えると効果が増すことが知られています。当院では腸を刺激する錠剤、散剤、水薬を体質に合わせて投与します。
Bのタイプの便秘には、腸を刺激する薬に加え、座薬(肛門から挿入する)が有効です。
座薬には、肛門から直腸に入ると少しずつガスを出し便を出しやすくするものや、大腸の粘膜を刺激すると同時に、溶解して便の滑りをよくし、排便を促すものなどがあります。後者には、痔を合併している人のために、微量の消炎鎮痛薬(痛みどめ)が混ぜてあるものもあります。
AとBは合併していることが多いため、基礎的治療として酸化マグネシウムやビタミンBを服用し、一日出なかったら大腸刺激薬を追加する、といった治療が標準的です。それでもスッキリしない場合、座薬を使うのも有効でしょう。
Cのタイプの便秘の治療は、AやBとはまったく異なります。AやBに使う薬は禁忌(使用禁止)です。
腸の運動を抑える薬や、便の水分を調節する粉薬、精神安定剤などが有効です。
これらの薬をこれまで試してもダメだった、浣腸をしてもそのまま出てしまう、など重い症状の方には、低残渣食療法、グリセリンやひまし油などの小腸下剤療法も考慮します。
まず一度ご来院、ご相談ください!